脱北女性が北朝鮮での生活を激白……トイレ紙は“トウモロコシの皮”で風呂は「年に1回くらい」

2017年5月12日

　さらに、キム氏が栄養失調になって寝込んでいた時、父親が「ウサギの肉だよ」と言って出してくれた肉も、食べ終わってから「ごめんね。実はネズミの肉だったんだ」と明かされたという。また、名倉が「平壌より北の方に住んでいたら、相当寒いと思うんですけど、凍死する人もたくさんいたんじゃないですか？」と疑問を投げかけたところ、キム氏は「本当に多かったです。特に冬には、脱北して中国に行くため、川を渡る途中に死ぬ人がたくさんいました。それで、暖かくなって凍った川が解けると、死体が流れてくるんです。また、雪が降ると家の半分くらいまで積もることもあるので、外に出かけていて雪のせいで家に入れなくなった人が、家の前で休もうとしていて、座ったまま凍死することも多かったです」と、語った。

　その後、北朝鮮で行われている“学校教育”の話題へ。貧しいイメージから、名倉が「学校、行けへんのちゃうの？」と口にすると、キム氏は「学校には無償で通うことができます」と答えつつ、「でも、学校に行くと要求されるものがたくさんあるんです。“ウサギの皮”や“石炭何kg”……という感じで徴収される」と、結局は裕福な家庭の子どもだけが学校に通えるが、貧乏な子どもは家で時間を潰していたと説明。また、河本が「“北朝鮮よりも他国の方が治安が悪くて貧困なんだ”っていうような教えもされているというお話なんですけども……」と触れたところ、海外の国は日本とアメリカしか知らなかった上に、「日本は悪い国で、悪い人たちが暮らしている」「アメリカは未開の国」と教わっていたため、「それ聞いて“私たちは幸せな国に暮らしているんだ”“ほかの国は資本主義で、お金のことしか考えられない哀れな人たち”と思っていました」（キム氏）と告白した。

　しかし、脱北後のキム氏は「韓国に来て、日本の観光客を見たら女の子は本当に可愛くて、素敵で、優しそうでした。それで“日本人は悪人じゃないんだ”と初めて気づきました」と、北朝鮮で植えつけられていた意識も変化。MC陣は「そこでしか気づかないんだ」（名倉）、「それまではずっとその教えですからね」（河本）、「その中にいますからね」（華原）と驚いた。さらに、北朝鮮ではあらゆる教科書に最高指導者である“将軍様”を崇める文章が自然な形で入っているといい、キム氏も「ほとんどの教科は将軍様を絡めて行います。歴史の授業も数学の授業も、『将軍様がアメリカ軍を退治した』……そういう内容ばかりです」と、コメント。河本も“別の脱北者からの証言”として、数学の教科書に「祖国解放戦争の戦闘では、朝鮮人民軍の3人がアメリカ軍のひ弱な帝国主義者たちを30人も倒しました。さて、我が軍の兵士は（アメリカ軍の）何分の1ですか？」といった問題が載っていると紹介し、「たった3人で30人も倒しましたよ。強いでしょ」というメッセージが含まれていると解説した。

　また、石丸氏も北朝鮮の教育について「アメリカのことを1番ひどく記述をしている」と話し、「金正恩時代になって発行された新しい教科書65冊を今入手して、ずっと分析しているんですけれども。相変わらずアメリカをですね、“敵中の敵”と……。“不倶戴天の敵”という形で教えるんです。つまり、敵愾心をずっと注入していかないと、子どもの中でアメリカを好きになったり、韓国のことを好きになったりしたら困るワケですよね」と、指摘。「つまり北朝鮮というのは、今も革命中なんですよ。“朝鮮革命”の只中に今もあるんですね。それは何から何を革命するのか？それは“アメリカが韓国を植民地状態にしている”と。このアメリカを朝鮮半島から追い出して、“韓国を社会主義で統一する”と。この論理が崩れると、朝鮮民主主義人民共和国の存在価値がなくなってしまう」（石丸氏）と解説。そのため、北朝鮮は国民に子どもの頃から「1番の敵はアメリカ」と教え続けていると分析した。

　今度は、43年間もの北朝鮮での生活を経て脱北した川崎栄子氏が、衝撃の実態を暴露。「病院には実際に手術のナイフもない。みんな“闇市”」と率直に述べ、病院に行くと医師から薬の書かれた紙を渡され、「これを闇市行って買ってきたら治療してあげます」と、言われたそうだ。さらに、川崎氏は日々の生活についても「電気がない」「ガスは初めからありません」といい、「平壌だけは水道のシステムがあるんですけど、ほかの地域……私が住んでたところは『1日に1回（水を）20分くれるよ、30分くれるよ』とかなって、それからだんだん『5日に1回』『3日に1回』とか……」と不安定な状況を振り返り、「だから川に近い人は川の水を汲んで使ってました」とも話した。

　河本が「ガスがないのに寒い中、お湯はどうしていたんですか？」と尋ねた時には、石丸氏が「燃料は薪と石炭。石炭はたくさんありますからね。それを買ってくるワケですよ」と補足。火も「日本製のガスライターとかもジャンジャン入ってきますから。中国通して」（川崎氏）とのことだったが、やはりガスがなく、水の使用に制限のある暮らしには苦労があったそう。名倉から「お風呂とかはあったんですか？入ってたんですか？」と聞かれたキム氏は「私の場合は、年に1回くらいしか入れませんでした」と答え、その際は大きな釜でお湯を沸かし、ビニールをカーテン代わりにして周りから見えないように対策し、その中で大きなタライで体を洗っていたと回顧。

　当然は石鹸がなく、「アジなどの魚の残りカスを集めて、それをお酒と一緒に煮詰めることでできる灰汁から石鹸のようなものを作って、代わりに使っていました。それでシャワーも洗濯もしました」（キム氏）との話に、河本は「（垢が）落ちない！」と顔を引きつらせた。しかし、キム氏は「違います！違います！洗うから垢が出るんです。長い間洗わないと、垢が出ないんです。私はそうでしたよ」と主張。川崎氏から「垢というのは皮膚じゃないですか？万年、栄養失調状態の時間が長いこと続くと、そういう皮膚の再生があまり行われない」と説明を受け、「なるほど。脂も出えへんし、油分もないから？」（名倉）と驚くと、キム氏は「逆に肌が綺麗になります！」と、ニッコリ。川崎氏も、「北朝鮮の北部は湿気がないから、砂漠地帯の人とあまり変わらない。洗わなくても、日本人みたいに“1日お風呂に入らなかったら我慢できない”（など）そういうことはない」と、証言した。

　そして、名倉が「あともう1個、生活の面なんですけど、トイレはあるの？」と質問を重ねると、キム氏は「土を掘って木の板を2つ置いて、見られないようにビニールで隠してから、その中で用を足しました」と回答。「お金ないところの地域だと、紙はどうするの？」（名倉）には「私の場合ですが、食べ終わったトウモロコシの皮を干してトイレットペーパー代わりに使いました。痛いけど、慣れると大丈夫なんです」と返したキム氏。そのため、韓国に来て初めてトイレットペーパーを使った時は「拭き残した気がしました。硬いもので拭くのに慣れてしまっていたので、とにかく拭いた気がしなかったんです」（キム氏）と、戸惑った経験もあるとか。これに対し、石丸氏は「今のは北朝鮮の現状ではない」と付け加え、川崎氏も「住んでたところによっても違います」と語った。

　その一方で、現在の北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射をめぐり、緊迫した状態が続いている。こうした情勢の背景について、石丸氏は「今の金正恩さん、金正恩体制が自分たちの体制を維持するため、それが唯一の目標」と話し、「“国民がそう望んでる”とは、僕は思わない」とコメント。あくまでも「ロイヤルファミリー、金一族の独裁体制を続けるため」に核とミサイルを使い、「もし攻められたら自分たちはタダでは済みませんよ」「必ず報復しますよ」と思わせることで、ほかの国に手出しさせないようにしていると分析した。加えて、石丸氏は「今の北朝鮮っていうのは、人口2000万ちょっとの非常に貧しい、東アジアの小さな国ですよね。資源はたくさんあるけど、貿易がうまいこといってるワケでもない。そういう中で、“核か何か持たない限り誰も振り向いてくれない”と、“相手にしてくれない”というのがある」と、北朝鮮の思惑に言及。

　こうした理由から、「（北朝鮮が）東アジアの情勢の中で生き延びていくためには何かを持っておかないと、大国の意向に飲みこまれて自分たちの体制がいつ崩壊するか分からない。そうならないために、『自分たちは核とミサイル、これしかない』っていう（思いがある）」（石丸氏）と聞き、河本も「これが一番の予防ですから。（核とミサイルを）持っていることが」と、理解。石丸氏は「特に金正恩さんも確信を持って、『自分たちは核とミサイル、これで生き延びるんだ』って決心している」と、強調した。

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