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『フジテレビ批評』でテレビウォッチャーが2016年のドラマを総括! 『逃げ恥』が評価された理由&“月9”へのダメ出し続出



 吉田氏はそのほか、NHKで放送された木曜時代劇『ちかえもん』を高く評価し、「“いろいろなことをチャレンジできる土壌があるのかな”と(感じた)」と、民放ではなく“NHKならではの可能性”に言及。これに対し、木村氏は「『時間とお金を潤沢に使える』っていうと怒られそうなんですけど、実際、民放とかけてる時間の長さが違うので。(NHKは)脚本を練る時間的猶予を与えられるんですよね。ベテラン脚本家で腕のいい方に“しっかり託す”っていう流れができてるので。失敗しにくいし、民放で書いている時よりも腕がいいんですよ。それくらい差があるし、練り直すくらいもできる」と、分析。その上で、「やりすぎて失敗するパターンもありますけど、かつては民放もそれくらいやっていたけども、そこまでいかなくなっているっていう現状があるので、(NHKが)有利な状況にあるのは間違いない」(木村氏)と、持論を展開した。

 NHK以外の番組について、吉田氏は元AKB48・前田敦子が恋愛体質の主人公を演じた4月期の深夜ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)を挙げ、「非常に面白い脚本だったし、ストーリーもなかなかよかった」とコメント。また、新木優子や太田莉菜らが出演した7月期の深夜ドラマ『ラブラブエイリアン』(フジ系)を“イチオシ”とし、宇宙人との同居を通して「地球人のバカバカしさ」が浮き彫りになるといった部分を絶賛。さらに、劇中の太田の言葉遣いに触れると、木村氏も「本当にリアルな女子会なんですよね。(吉田氏が)『言葉が汚い』とおっしゃられてましたけど、“女子会、そんなもんだろ”っていうところ。男性も勉強になっちゃうような感じもありますし、エイリアンが本音を喋らせちゃうっていう能力とか持ってたりもするので、そこで出てくる本音を聞いてみんな大笑いするとか、深夜に笑ってる女性が多かった」などと話し、「『これ“月9”でいいんじゃないの?』とは言いませんけど、それくらいやってもいいかなと思うものありましたよね」と、太鼓判を押した。

 一方で、その月9に関しては「“裏目に出たな”という感じがしないでもないですね……」と、バッサリ斬り捨てた吉田氏。有村架純と高良健吾がW主演を務めた1月期の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』は、ヒットドラマ『東京ラブストーリー』(1991年放送)などを手掛けた坂元裕二氏が脚本を担当したが、「彼の脚本は非常に好きなんですけれども、開けてみたら、“若者の恋愛なのに、ドキドキしてるのがオバサンたちだけだった”っていう残念な声がいろいろ聞こえてきて……」(吉田氏)と苦笑い。橋爪が「内容がちょっと“昭和感”があって……。乗り越えなきゃいけないものが、苦労が、ちょっと重めなのだったので……」と同調すると、吉田氏も「(設定に)貧しさっていうのも出てきてましたからね」と、付け加えた。

 続けて、吉田氏は「“やっぱ恋愛ドラマって難しいんだろうな”っていう風に(感じた)。どの局でもです」と言い、4月期に福山雅治が主演した月9『ラヴソング』のほか、1月期の深田恭子主演『ダメな私に恋してください』(TBS系)や、4月期の中谷美紀主演『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(同)などに関して、「恋愛と結婚をテーマにしたドラマは毎クール何となくあったんですけど、まったく答えが見つからなかった。みんなの心に響くものがなかった」と、言い切った。

 そんな中、ようやく大ヒットとなったのが、新垣結衣と星野源が共演した10月期の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。今月20日に放送された最終回は平均視聴率20.8%をマークし、全話平均も14.5%を記録した。吉田氏は「若い人たちが求めてる感覚と、オバちゃんたちも“うん、うん”って思えるような。全世代が『今の恋愛ってこうだよね』っていう、結論を出してくれたというか、今までの恋愛ドラマの、今年1年の失敗を全部回収してくれたような」と、称賛した。

 さらに、木村氏も『逃げ恥』について、「連続ドラマっていうところの良さを活かして、1回で新婚旅行に行ったり、親に紹介したり、ゆっくり進めていく形。これって、月9でフジテレビが90年代にやってた形なんですよね。フォーマットとしては実はそんなに変わらないんです。今はどんどんはしょっていくようなドラマ。もう心の動きとかも放っておいたり。『逃げ恥』は、勇気を持ってゆっくり進めていく、しっかり心の動きを見せていく、というところで勝負してドラマ本来の面白さを見せた」と、魅力を語った。

 また、吉田氏が斬り捨てた『ラヴソング』に対し、橋爪は「面白かった」と述べながらも、「だけど『ラヴソング』、ホントにフジテレビで言うのもアレなんですけど、すごく不評で……。友達と話せなかったんですよ、まったく」といい、ヒロイン役の藤原さくらが歌う「Soup」(16年6月8日発売)をカラオケで歌っても伝わらなかったなどの実体験を告白。橋爪は「やっぱ大学生くらいの子とかだと、福山さんと藤原さくらさんの年齢差の恋愛が、リアルじゃなくて」と明かし、逆に桐谷美玲や山﨑賢人など若い世代の恋愛を描いた7月期の月9『好きな人がいること』に関しては「見てて恥ずかしくなっちゃう」とぶっちゃけトーク。さらに、芸人仲間からは「ドラマ見てるとかババアだよ!」と言われることもあるそうで、「でもドラマって面白いものだと、私は小さい時から思ってるので、『みんなが見るものだよ、ドラマ』って伝えたいなと思うんですけど……。やっぱ、世間とはギャップが生まれてますね」と、悔しさをにじませる一幕も。

 次に、木村氏が「今、平日のドラマって、ほとんどがヒロイン物なんですよね」と切り出したように、今期もHey!Say!JUMP・山田涼介主演の月9『カインとアベル』、水曜ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)以外は女性が主役の作品ばかりだった。木村氏は「その中で、“お仕事モノ”にすると、女性同士で共感を得て、男性はその頑張ってる姿を見て癒されるっていうところで、うまく(視聴者を)掴んでいける」と、説明。今年でいえば、4月、7月、10月それぞれのクールで、黒木華の『重版出来!』(TBS系)、北川景子の『家売るオンナ』(日テレ系)、石原さとみの『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(同)が放送され、いずれも視聴者の話題を呼んだ。木村氏が「“この流れがしばらく続くかな”って思ってます」と口にすると、渡辺アナは「じゃあ、偶然ではなくて、狙って……」とビックリ。木村氏は「もうマーケティングです」「被っちゃってるっていうのもあって、だから校閲とか、お家を売ったりとか、違う方向にどんどん行こうとしてる」と、ドラマ界の裏事情を語った。

 また、吉田氏が『重版出来!』や『校閲ガール』を例に出し、「出版業界の仕事を、普通のお勤めの方は知らないので。その業界の裏側を描きつつ、ちゃんとした“女の子の成長物語”っていうところは丁寧に書いていたし、“非常に賛同されるんだろうな”っていうのは理解はできました」と業界に携わる人間としてコメントした際には、木村氏が「同じですよね。脚本家さんが『逃げ恥』と(『重版出来!』は)、野木亜紀子さんっていう。だから上手いっていうのもあるんですよね。野木亜紀子さんは“原作モノを一番上手くまとめる人”と言われていて、フジテレビも掴んだ方がいいんじゃないかな」と、制作側にアドバイスする場面も。野木氏は2010年にフジテレビの「ヤングシナリオ大賞」を受賞しており、木村氏はそのほか同賞から輩出された脚本家が若手として育っていることに触れ、「なので、もう『戻っておいで』って感じですよね」と、フジ目線で代弁した。

 ここで、渡辺アナが「でもフジテレビドラマ、かなりチャレンジしていた印象はあったと思うんですけれども……」と主張したところ、木村氏は「どこよりもチャレンジしてました」との認識を示しつつ、「でも今年はそれが実を結ばなかったというか。チャレンジする中で“どうしても視聴率っていうのが1番頭にあるかな”っていうチャレンジの仕方だった気がする」と、問題点を指摘。ただし、本来フジには技術的に高い人材が集まっているといい、「今年を“踏み台”っていうとアレですけど、“チャレンジの一年になるんじゃないかな”と本当に思ってます」(木村氏)と、期待を寄せていた。

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