若者が危険な“市販薬トリップ”に手を染めるきっかけとは？　『じっくり聞いタロウ』で裏社会ジャーナリストが解説

2020年7月24日

　若者が市販薬トリップに足を踏み入れる背景について、河本が「薬局で手に入るっていうレベルですからね」と想像すると、「そうなんです。本当に500～600円で（販売されている）。しかも、安定供給もできるワケですね。どこででも買えて。なおかつやはり、“合法なもの”っていうことで、本人に罪悪感もないですし。たとえば、痛み止めなんかを3箱か4箱まとめ買いしても、それ別に誰かに咎められるってことも、なかなかないですね」（石原氏）と、コメント。簡単に購入が可能な商品ゆえに、知らないうちに“市販薬ジャンキー”になってしまった人もいるようだ。

　石原氏は「ダイエット薬なんかもそうですね。たとえば、『このスティック1本、1回食後に飲んでください』っていうところに、“じゃあ、2本飲んだらもっとスリムになるんじゃないかな”ですとか。あるいは、風邪薬なんかでも、“ちょっと明日、大切な会議があるから、早く熱冷ましたいな”っていうので、“これ3錠飲んだら、熱下がって会議で良い発言できるんじゃないか？”って。これもう、素人判断でそういうことやっちゃうと、そこを入り口にハマっちゃったりすることはありますね」と、述べた。

　実際、市販薬トリップに溺れた女性に話を聞いた経験があるといい、河本が「どういった方ですか？」と詳細を求めると、「20代後半の、もうホントに普通のOLさん」「見た感じも、生活も、本当にいわゆるドラッグ・違法薬物とは一切関係ない、もう真っ当な生活をしている方だった」（石原氏）とのこと。当初は、女性の恋愛や生活習慣の実態といった別件の取材でアポイントメントを取ったものの、「朝から落ち合ったんですけれど。そしたらですね、もう顔色が真っ青なんですよ。本当に青白くてですね、ちょっと小刻みに震えていて、奥歯がカチカチ鳴るくらい。もうブルブル、手なんかも震えてて」と、石原氏は一瞬にして彼女の異変を察知。

　そこで、「具合悪いですか？」と声をかけると、相手は「いつも飲んでるお薬を持ってくるのを忘れちゃったんで、ドラッグストアかなんか、この辺にありませんか？」と尋ねてきたため、近くの「普通のドラッグストア」に案内。すると、「すぐ出てきたら、包装紙も包まずに、そのまま鎮痛剤の箱を持っててですね。『すみません、お薬飲んでいいですか？』って言われて、『どうぞ、どうぞ』と言ったら、箱（から）出して、2シートぐらい……1シート半ですね。手にバーっと出して。もうちょっと、このぐらいこんもりしてるのをですね、パッと口に入れてですね。ボリボリボリボリって噛んでですね。で、もう水とかもなしにゴクンって飲み込んでですね。それがもうホントに、ドラッグストアを出て、入り口真ん前、2～3歩くらいのところで」と、驚愕の光景を目にしたという。

　河本は「1ケース半でしょ？　20錠ぐらいあります？」と仰天し、石原氏が「15錠、20錠ぐらいあります」と、返答。「そしたらですね、もうホントにみるみるうちに（彼女の）顔がピンク色になってきてですね。取材したかったネタじゃなくて、“いや、そんな話より、この話聞かなきゃ”って感じで」と、当時の心境を振り返った。また、名倉が「危なくないんですか？」と質問した際は、「『これもう、ちょっと依存症状態になってるんじゃないか？』ってお話をしたらですね、『えっ？』っていう感じで。『そんなこと思いもしなかった』って言うんですよ」と明かした通り、その女性は石原氏に指摘されるまで、無自覚で過剰摂取をしていたのだ。

　石原氏によれば、当人は「偏頭痛持ち」に加えて「生理痛が結構くる」との理由で鎮痛剤を常用するようになったが、「でもやっぱり、偏頭痛ですとか、痛みが重い時は、“どうしても早く抑えたい”っていうので。用法・用量を1回1錠のところを、どうしても2錠、3錠飲んで。で、たくさん飲んでると、“耐性がついて効きにくくなる”っていうので。だんだん、痛みがきたら、3錠飲むとか。あるいは、“もう痛みがきそうだな”と思ったら、きてなくても飲むようになって。それが気づいたら、もう痛みとか関係なく、毎日そうやって……」と、いつしか薬の量が増えていったそう。

　ほのかが「噛むっていうのがちょっと、依存ですね」とつぶやくと、名倉も「“どっか壊さへんかな”って思う」と、体への影響を心配した。これに対し、石原氏は「それこそ、本当に必要な合法的なものではあっても、オーバードース状態で用法・用量を守らずに摂取していれば、当然、腎臓ですとか、肝臓ですとかに、大きく負担かかってくると考えられます」と、危険性を強調。トークの最後には、番組側でも「薬は用法・用量を絶対に守ってください」と、注意喚起していたのだった。

アーカイブ