芸能トラブル専門弁護士が奴隷契約、枕営業、AV出演強要の実態を語る……悪徳事務所で横行する“卑劣な手口”とは？

2017年9月22日

　一方で、名倉が「“おかしいな”と思った子が（弁護士に）相談に行ったら、それくらい取り戻せるってことですか？」と期待を寄せると、河西弁護士は「取り戻せるケースもありますし、そこ（A子さんの所属事務所）はヒドい例だったからですよね。もう、“芸能プロダクションっていう名前を語った詐欺集団”と言ってもおかしくないくらいのところだった」とした上で、「そういうのが見えにくいんですよ。やっぱり“芸能”っていうベールに包まれてしまうと、親も学校の先生も“そういうものなのか”って思っちゃうんですよね」とも。これには名倉が「（一般の人には）分からへんもんね」と頷き、矢口も「ありそうな話ですよね。いろんなところに」と、想像。

　さらに、名倉は「吉本（吉本興業）とかワタナベ（ワタナベエンターテインメント）も、そういう“スクール”っていうのがあって、お金を払って売れた人もいるけど、女性アイドルで『お金を払って売れました』っていうのを聞いたことがないよね」と、コメント。ここで、矢口が「スカウトも結構、気をつけた方がいいですよ」と口を開き、「なんかやっぱ、“原宿に来れば（芸能事務所のスカウトマンに）声をかけてもらえる”っていう、伝説になっちゃったじゃないですか。で、私も1回、モーニング娘。に入る前に原宿に行って声をかけられた事務所があったんですけど……」と、自身の体験に言及した。

　矢口は当時、その事務所から「宣材写真を撮るから」と言われて撮影に応じるも、それだけで「10万円」を要求されたんだとか。「登録料みたいな」（河西弁護士）と補足を受けた矢口は「そうです、そうです」と肯定した後、「一応、10万円は払っちゃったんですけど……」と、告白した。「そこからもう何もなかった」「そこの事務所は消滅したのか、分からないですけど……」（矢口）と話すと、河本は「それはもう詐欺でしょ」と、ピシャリ。このエピソードを受け、名倉は「『あ！　スカウトされた』って、フワーとなって行ってまうのは絶対良くないよね。精査した方がいいよね」との見解を示し、矢口本人も「はい。危ないです、ホントに」と、強調した。

　続いて、番組では近年新たに問題視されているトラブルを紹介。それは、「脱がない仕事」と聞いて契約したにも関わらず、AVに出演させられてしまう被害だといい、河西弁護士は「実は先に（タレントを）売り出す前に、撮っちゃうこともあるんですよ、アダルトビデオを。撮った上で、まずは“アダルトではないタレント”として売り出していくワケですね。で、ある程度行ったタイミングで、もし売れなければ“AVの方に転向をする”というか。もし売れれば（AVは）お蔵入りになっていく」と、その手口を解説した。

　これには「最悪それ！　やだぁ！」（矢口）、「そんなやり方ある？」（河本）と仰天し、「お蔵入りになる？」（名倉）との疑問も。河本が「“絶対出る”と思う」と断言すれば、矢口も「売れたらもっと出る（可能性が高い）じゃないですか」と同感のようで、「とんでもないことになる」（河本）、「怖っ」（矢口）と、ザワつく面々。河西弁護士は「タレントさんからしたら、恐怖なんですよね。自分がもし売れなかったらAVの方に流れちゃうし、“ずっと売れ続けなければいけない”“頑張らなきゃいけない”というところで、ある種“脅しに近い”ところがあるんですよね。（AVを）初めに撮っちゃうっていうことに関しては」と、語った。

　しかし、名倉は「『初めに撮っちゃう』っていうのは、女性も納得しないといけないワケじゃないですか。（女性が）納得してもうてるから、“それってどうなんやろう”って思うよね」と、女性側にも落ち度があるのではないかと指摘。河西弁護士は「実際に18歳、19歳の子で“タレントになりたい”って時に、ある程度お金貰えるっていう点で（先にAVを）撮っちゃうってことをきっかけにする子がいたりはしますね」と、実例を挙げた。ちなみに、河西弁護士によると、20歳未満で親の同意なくAVに出演した場合、親の権限で「販売差し止め」を請求できるそう。20歳以上の場合はケースにもよるが、「違約金を盾にされた」など“出演を強要された事実”があれば、販売停止も可能だという。

　次に、河本が「こんなん信じたくないですけど、『枕営業を強要される話がある』とかっていうのは、実際にはどうなんでしょう？」と質問をぶつけると、河西弁護士は「かなり……正直、あるんですよね」と、明言。「枕営業の原因になっているのは、“キャスティング力”なんですよ」（河西弁護士）と述べ、名倉から「たとえば『キャスティング力』っていうのは、番組のプロデューサーだったりとかそういうことですか？」と問われた際には、「番組（のプロデューサー）も中にはなくはないですけど、1番多いのは“舞台の演出家”さんだったりとか」と、具体的に示した。

　スタジオが騒然とする中、名倉が「舞台に出してあげるんだ？　それ（枕営業）で」と理解すると、河西弁護士も「そうですね。いい役どころ（を与える場合）であったりとか……。無名の劇団員の方を、そこでキャスティングするっていうことですよね」と、演劇界の枕営業事情を暴露。さらに、「やっぱり、キャスティング力がある方には人が集まってくるんですよ。どうしても。別に悪い意味ではなくて」と前置きしつつ、「中にはチヤホヤされて、“自分には力があるんだ”っていうことで、肉体的なところ、性的なものを手段にするっていう人もいます」（河西弁護士）と、自身のキャスティング力を悪用してしまう演出家が存在すると話した。

　河西弁護士も、過去に枕営業を強要された女性芸能人の相談を受けたといい、「その時は、まぁ劇団だったんですけども……。（強要したのは）演出家だったんですけども、行為をしているところをですね、撮ってたワケですね、カメラで」と、性的関係を迫られた末にその模様を動画で記録されてしまっていたんだとか。女性芸能人は、演出家から「事務所に告げ口したら動画をバラ撒く」と脅迫を受けて河西弁護士のもとへ相談に来たそうで、「その件については、本人と相談をして警察に届け出た」（河西弁護士）という。

　河西弁護士が「（こうしたケースは）完全に恐喝だったりとかになってきますから。犯罪行為になっていますから」と振り返ると、矢口からは「警察に行くのもスゴい勇気がいりますよね。夢があって芸能界に入って、（事件化して）名前が出ちゃったりとかしたら、最悪じゃないですか」と、同情の声が。河西弁護士も「そうなんですよ」と共感し、「実際に警察に行く時も『逮捕してください』とかではなくて、事件化しないというか、なるべく表には出ないような感じで事件を取り扱ってもらう……。警察から注意してもらうところから始まっていって、それでも聞かなければ完全に事件化にしていくという手段に移っていかざるを得ない」と、慎重に段階を踏むと説明。「なるほど」（矢口）の声が漏れると、河西弁護士は「スゴく、うーん……」「デリケートな芸能トラブルが多いですね」と、厳しい表情を見せていた。

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